旅先を「いいね」で測ることの問題点
「いいね」は、人が送れる中でもっとも安上がりな合図のひとつです。親指を動かす、わずか0.25秒ほどの動作で済み、それはほとんど何も語りません。キャプションを読んだということでも、1時間後にどの旅先だったか覚えているということでも、行くつもりがあるということでもありません。それでも観光局はこの数字を報告します。プラットフォームが渡してくれる数字がそれだからであり、右肩上がりのグラフのほうが、会議で正直な肩すくめより見せやすいからです。
もっと難しい問い、たいていスライドから抜け落ちている問いは、旅先を見ることから、そこへ行く航空券を予約することへと、実際に人を動かすものは何かということです。「いいね」ボタンだと本気で信じている人はいません。それはもっとゆっくりしたものに近いのです。ある場所への、少しずつ、半ば無意識に育っていく親しみ。繰り返された、急がない接触の積み重ねの末に、そこへ行くことが未知への飛躍ではなく、すでに半分計画していたことのように感じられ始めます。
そうした親しみは、エンゲージメントレポートには現れません。一度のバズった瞬間には作られないからです。それは、誰かが仕事をしながら、あなたの地域を走る鉄道路線の映像を1時間ウィンドウに開いたままにしておくこと、あるいは何日か続けて夕食どき、海沿いの道をなんとなく眺めていることから作られます。誰もそれに「いいね」はしません。ただ、15秒のクリップでは作り出せないやり方で、あなたの旅先を知ることになるだけです。
それこそが、私たちが判断されたい数字です。「いいね」ではなく、時間。実際の場所が、誰かにそっと寄り添っていた時間。誰かが何かをクリックしたかどうかとは関係なく。もしあなたの旅先に、そうやって測る価値のある旅があるなら、ぜひ聞かせてください。
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